展開は、贔屓目込みで五分に近いものだった…と思う。しかし、本当に危険な所まで攻めこんだ回数は、FC東京の方が多かった。勝負を決める間合いに踏み込んでいくことに、湘南は最後まで苦労したままだった。
確かに人数をかけて攻め上がれてもいるが、フィニッシュへの道があまりに遠く感じた。もちろんこちらのミスもあるが、実に見事に進路を塞がれて、勢いが削がれていた。
もっともFC東京の攻撃も防げていたし、湘南も良い展開を見せていた。この調子であと一歩、相手より早く。あと三歩、今までより深く。相手の怖がるところに入っていけたら。前半が終わった時には、そんなことを考えていたものだ。不可能ではないと感じてもいたんだ。
しかし、後半になっても決定的な形を作る回数が多いのはFC東京。湘南も前半と同じく攻勢に出るものの、やはりゴール前での迫力を増すことはできていなかった。そして64分…。
そして本当に入ってきて欲しいタイミングで、湘南守備陣より一歩早く動き出し、三歩深く飛び込んでゴールを奪った選手こそ、”あの”武藤だった。注目される試合で、必殺のタイミングに必殺の間合いに飛び込んで決定的な仕事ができるのが、エースの証よねぇ。流石だった。
湘南とて、無策だったわけじゃない。それなりにやりたいことはできていた。それでもそこをこじあけてくるエースと、そこに合わせられる正確なラストパス。今の湘南に一番必要なもの。
二年前と違って、J1の攻撃に圧されること無く、人数をかけて攻めこむところまではできているんだ。あとは勝負の瞬間に、勇気を持って相手より一歩早く、三歩深く踏み込むこと。
ホーム連戦の次戦は、去年の王者ガンバさんですな。武藤の次は宇佐美にパトリックとか、イヂメですかコレはw。今回足りなかった三歩は、J1で生きていくには必要な三歩だ。リスクを背負って飛び込んで、ガンバ相手に流れの中でゴールできたら、それだけで一皮剥けるだろう。
あ、思い出した。FC東京戦で少々アレな出来事が。
前半終了間際、なんかウチの永木が絡まれましてね。絡んできた選手は落ち着くどころか監督にまで食ってかかる始末で。何事かと思ったら、競り合いの中で肘が入っちゃったみたいなのね。
スローだと、相手が体制を崩して腰を落としながらもつま先でパスを出しているところで、そこに永木は肩から全力で跳ね飛ばしに行っちゃって、肘が相手の横っ面に入っちゃったと。カレー券を貰った後のハーフタイムにも監督に詰め寄ったり、完全にキレちゃってたね。
試合終了間際には、コーナーで時間稼ぎをする武藤に永木が果敢に挑み押し倒してしまい、それに武藤が激昂して睨み合うという場面も。温厚な武藤があそこまで怒るのは珍しいそうでね。
んで。どっちも永木なもんで『極一部の』FC東京サポが、人様のところの完全無欠のキャプテンを口汚く罵るわけですわ。曰くプレーが汚い、精神的に未熟、湘南のヤンキー…etc. まったく、自分達の選手可愛さだけで、よくもまぁそこまで…という罵詈雑言のオンパレード。
肘が入っちゃったのは、サッカーにおけるアクシデントの一つ。武藤の件はもっと簡単で、一点差で負けてる方が、時間稼ぎされたら必死になってボールを奪いに行くのは当然な話で。賢い武藤なら、激昂してみせることで睨み合いの数秒を稼げたとほくそ笑んでいるくらいだろう。
頭にくるのは、その『極一部の』FC東京サポから滲み出る、J2あがりの無名選手が何をしやがるというような見下した感情なんだよね。同じ土俵に上がってる相手へのリスペクトの欠片も感じない。そして、そういう言動を隠そうともしない態度。
その『極一部の』言動でFC東京サポーター全体を悪く思ったりはしないけど、見返してやりたいという気持ちにはなるよね。ここから積み上げて、敵地で倍返し…できるといいんだけど。