アグレッシブに人数をかけて襲いかかる湘南、スピードとカミソリのようなスルーパスでゴールに迫る広島。互いの長所をぶつけ合う、観ていて面白い前半だった。それだけに最後まで11人対11人で観たかった。
広島は7人、湘南は何と11人全員を入れ替えて始まったこの試合。互いに出番を渇望している選手達が、相手の光を消すことなく、どちらがより強く光を放つのか勝負できていた。この日の湘南は相手がサブということもあってか、とても良い距離感でパスを回せていた。
前半、ゴール数で上回ったのは湘南だった。単独で斬り込んでのセザルの公式戦初得点。どうもプレーを見ていると、やはり大竹/山田のような周りを活かすパス回しもでき、ゴール前での落ち着きもある万能型のようだ。このゴールをきっかけに覚醒してくれるといいんだが。
同点に追いつかれてからしばらく広島の圧力に圧されていたが、それを跳ね返したのはこの試合に賭けていたというコバショーの今季初得点。武田英二郎と共にサイドを縦横無尽に駆けまわっていた姿に、意地を感じた。ほぼ去年不在だったコバショー、完全復活はすぐそこだ。
前半終了間際のコバショーの勝ち越しゴールで、流れも掴んだ。後半も激しい戦いを期待していたんだけど、好事魔多し。後半開始早々に、ジョンピルがカレー券2枚目で退場してしまう。
一人少なくなったことで、必然的に守りに比重がおかれてしまうのは仕方がないこと。それからは防戦一方になってしまったが、集中と運動量を切らさずにキチンと守れていた。これで勝ちきれていれば『会心の勝利』と言ってもよかったが、こらえきれずにロスタイムに無念の失点。
押し込まれていた後半も、隙あらば前へという姿勢は見せていたが、さすがにリードを広げられる可能性は感じなかったな。あと1分我慢出来ていれば…もったいない試合だった。
レンタル期間を延長してまで今年の湘南に賭けている岡田は、今日も輝きを見せられなかったのは残念だなぁ。一人少なくなった煽りで早期の交代を余儀なくされたのも不運だった。まだまだこんなモノじゃないはず。次のチャンスまで腐らず精進してほしい。
前半に手応えがあっただけに、同数のままでどのような内容の試合になったのか、見てみたかったな。二年前には何も出来なかった相手に、サブ同士の戦いとはいえ、甲府戦からわずかな時間ですっかり浸透したスタイルで互角以上に渡り合えたのは、更なる自信につながるだろう。
この試合を見たレギュラー組にも良い刺激になってくれると、相乗効果で更にチームの状態は上に向いてくれるだろう。開幕の浦和戦以降、負けなし。1勝2分でグループリーグ暫定首位。ここまではホントに出来すぎの結果という気がしている。簡単には浮ついた気持ちにはなれない。
しかし、週末のFC東京戦が大きな試金石となるだろう。ここで内容の伴った結果が得られたならば、今後の戦いに少しばかり胸を張って挑んでもいいかもしれない、という相手だ。
当日はハリルホジッチ日本代表新監督も訪れるらしい。大方FC東京、しかも海外からオファーが殺到している武藤目当てなんだろうが、そう簡単に目立たせてはやれない。湘南スタイルを、湘南の原石達の奏でるハーモニーを、スタジアムに高らかに響き渡らせてやろうじゃないか。
御前試合で完封することができたら、旅立つ(?)武藤くんに少しばかりの心残りを試合後に残してあげられるかもしれない。そして、それができた時にハリルホジッチ氏のハートを射止めているのは、『遠藤を継ぐ遠藤』ことワタルに違いない。それが出来るだけの器であるはずだっ!!