この試合を振り返るのは、ちょっと時間が必要だった。丸２日、Ｊから離れた。あまりに辛く哀しい試合だったから。同じ負けるにしても、負け方ってものがある。ようやくリーグ戦での勝利を手にした次の試合が、まさかこんな試合になるなんて、予想もしていなかった。
前回の記事で「一ヶ月前の対戦での反省をふまえて、入り方を間違えずに、湘南スタイルを貫いてほしい。」と書いた。只でさえ最近いわゆる『危険な時間帯』の失点が目立つ上に、未勝利の磐田がキックオフ直後から勇猛果敢に攻めてくるだろう事は想像できた。立ち上がりは注意しすぎることはないくらい警戒しなければいけなかった、はずなのに。
前節大分戦こそ２得点できたものの、得点力不足が顕著な湘南にとって、先制点の価値は他のチームより重い。ようやく見えた一筋の光明を見失わないためにも、まずは相手の攻撃を防がなければいけなかった、はずなのに。
な ん で 開 始 ３ ０ 秒 で 失 点 し て ん の ？
何も成長していない。時間帯も悪けりゃ決められ方も悪い。相手のボール回しが、ディフェンスを素通りしたままゴールに吸い込まれた。集中もしてなけりゃ身体を張るわけでもない、考えられる最悪の先制点の取られ方だ。只でさえ自力の差がある相手に、いきなり試合に集中できてないとかアリエナイよ。
早々に同点に追いつけないとこのままズルズルと失点し続けるぞと、正直この時点でテンション大幅ダウンしてた。相手ボールになればドリブルで切り崩され、こちらが攻め上がれば簡単にカウンターを食らう。
一向に試合が落ち着かないまま、人数をかけた攻撃がボディブローのように繰り返される。そして２９分にドリブルで安々と３人が突破されて２失点目。でもこれが最初の失点だったら、全く問題は無かったんだ。しかしコレで完全に磐田の流れになってしまった。ホームの声援を背に、磐田の攻撃は最後まで勢いを失わなかった。
湘南が何もできなかったわけじゃない。シュートは磐田１３本に湘南１１本。直接ＦＫは磐田９本に湘南１４本。あと一歩の攻撃は何度もあった。ラインも腰が引けたわけじゃないし、あの"くっだらない"先制点さえ無かったら、攻撃の応酬に持って行けていたら、こんな試合にはならなかったはずなんだ。
試合後は、湘南サポからは怒号混じりの大ブーイング。負けても伝わるものはある。そういうモノは敏感に感じ取って、勝敗関係なく拍手が出るんだよウチのサポは。ラスト２５分の試合が最初から出来ていたら…と言うか、出来ないからこそのブーイングなんだ。最初からやってくれよ、この不甲斐なさは何なんだよ！
磐田は、この勝利でエンジンが回り始めるだろう。湘南は、ここで勝てなくとも悪くない試合が出来たら波に乗れたところだったが、再びきっかけを逃した。いや、今回は自ら手放した。
チャンスを掴みとる機会が次来るのは、いつなのか。次節、ジーニアスを完封できたら、流れを変えられるだろうか。
当日の話。磐田駅から徒歩で４０分ほど。シャトルバスは当分来ない時間だったし、良い天気だったから歩いちゃえーと歩き出したんですね。そしたら、交差点の向こうで小学生男子がこちらを見ている。何やねんと思いつつ横を通り過ぎると、声をかけられた。「ヤマハ、行くんですか？」
なんと、道案内をしてくれるという。あまりに良い天気で既にユニ姿だったので、湘南サポとすぐわかったそうだ(そりゃそうだ)。スマホのナビ機能で行こうとしてたんだけど、せっかくだからと道案内を任せることに。
道すがら、いろいろと話した。少年は磐田在住ではないけれど父親の影響で磐田サポで、電車で時々遠征もしているそうな。こないだの静岡ダービーも行ったそうだ。今の磐田は、勝てないからではなく、スタメンの面子があまり変わらないのでツマラナイと言っていた。
他のサポから観た湘南の印象を聞いてみた。サッカーはハマれば強そう、に見えるらしい。お世辞なのかどうかは読み取れなかったｗ。キングベル爺ちゃんはセンスが良くカッコいいそうな。ジュビロくん＆ジュビィちゃんはお気に召さないらしい。
最後は握手して別れたあの少年の目に、今回の試合はどう映ったろうか。
