湘#48 れび@湘南サポBLOG Ver.2

スポーツナビ+(ブログ)サービス終了に伴い、引っ越してきました。湘南ベルマーレを応援していきます。

2016年回顧録 ~遅すぎた原点回帰~

何とかの遠吠えでも構わない。今年の湘南ベルマーレにも、残留するチカラはあったはずだ。戦力的にはマイナスのところから選手を揃え、スタイルで束ね、戦えるチームに成長した。1stでの初勝利以降と、2nd終盤&天皇杯の快進撃は、フロックでは出来ないことだ。

ただ、あまりに不安定で、脆かった。天皇杯徳島戦でスタイルを取り戻せたように、シーズン中に何度でも立ち直れる節目はあった。他がモタついてくれたおかげで、終わってみれば残留に必要だった勝ち点は「4」。あと少しの逞しさがあったならば…と思わずにいられない。

菊地俊介離脱】

まずはここだろう。YNC名古屋戦で今季公式戦初勝利を上げる直前、秋元ワタル永木コバショーを失ったチームを支えるべき存在になっていた、菊地俊介のリタイヤ。右ヒザの前十字靭帯損傷で全治8ヶ月…あまりに大きな痛手だった。

監督は多くは語らないし、思っていても言わないだろうけど、ここで大きくチームの指針の修正が必要だったことは想像に難くない。シュンスケが戻るまでに三竿までがボランチに駆り出される事態になるのだから、影響は大きすぎた。

しかしクラブは、それ以前からその後のチームに大きく影響を及ぼす補強に動いていた。シュンスケ離脱の発表の翌日に、長谷川アーリアジャスールの獲得の発表。思わぬメジャーネームの獲得に、湘南サポの心の痛手もいくらか安らいだものだ。

【苦闘の日々~甲府戦】

流れを呼び込めぬまま迎えた、4/10の甲府戦。残留争いにはまだ早かったが、互いにそこを争う認識する者同士の直接対決。実際は試合開始5分で失点。試合終了間際にカウンターの2失点。予想もしていなかった低調な内容で、まさかの大惨敗。

ここが最初の節目だった。ここで勝てていたら、その直後もシーズン終盤も展開が大きく変わっていただろう。以降、選手の頑張りは伝わるものの攻守において機能不全で、初勝利のあの日まで、シュンスケ不在の悪影響がなかなか癒えない状況が続いた。

【リーグ戦初勝利~ホーム初勝利】

19年間勝てなかったマリノスから、リーグ戦初勝利。試合自体は虎の子の1点を守りきった形ではあったが、最後まで集中の途切れないサッカーを見せてくれた。選手もサポーターも歓喜に沸いたこの試合が、それまでの悪い流れを変えてくれた。

ようやく走り始めたチームは、YNC鹿島戦で連覇を狙うにはもう負けられない鹿島相手に、試合終了間際にカウンターから2点奪っての大逆転勝利するなど、結果を出し始める。一方で福岡戦/仙台(H)戦/YNC甲府戦と連続ウノゼロ敗戦するなど、流れに乗り切れない。

仙台戦ではゴル裏と監督が揉める事態に発展。再び崩れかけたが、名古屋(H)戦で神谷のミスをダイスケが救ったホーム初勝利。その後はリーグ戦負け無しで1stを終えることができた。

【1st終了~2nd開幕】

ようやく新戦力との融合も進み、浮き沈みはあれども、落ち込みそうなところで何とか踏みとどまれた。初勝利から9試合で勝ち点14、このまま行ければ…という手応えもあったんだ。

で、2nd開幕のマリノス戦。ここが最大の謎。開幕からショートパスで楔を入れつつ相手の守備を打開していくサッカーを取り入れていたはずの2016年湘南スタイルだったはずが、チャレンジの姿勢すら見せられずに惨敗。それでも選手監督のコメントはやたらポジティブで。

何というか…1st終盤勝ったり負けたりできるようになって、所謂『監督依存』の兆候が見られ始めてしまったのではないかな。監督についていけばオレ達はやれるんだと、柏戦からの一週間で変な方向にユルんじゃったんじゃないかと思わずにいられない。

【泥沼】

新潟戦で「勝ててしまった」事で逆に泥沼に踏み出してしまったんじゃないか。神戸戦/川崎(H)戦/広島(H)戦/G大阪(H)戦と、内容的に悪くはない試合を挟みながらも、連敗は続いていく。端戸が広島(H)戦から負傷離脱したのも大きく響いたのは間違いない。

天皇杯で大学生相手に大勝しつつも内容はダメダメで、残留が目前になっても福岡(H)戦での敗戦で、ここまでで10連敗。自分の中では降格を覚悟した。ここまで負け続けて残留できるなんて思えなかった。…そしてホントに届かなかった。

何も言わなくても湘南スタイルを体現できていたワタル永木氏がいなくなり、チーム作りはゼロからとは言わなくとも例年よりも後退した所からスタートした。更に縦への志向を強め、ショートパスを相手のブロックで受けて崩していくサッカーを開幕戦から見せてくれていた。

シーズン中、既存の選手達とは質の違うプレーで前線を活性化させられるアーリアを、せっかく途中加入で獲得したにも関わらず、交代枠として温存させることが多かった。その役割をアーリアは必死にこなして、結果も出してきた。

その一方でスタメンなことが多かった大槻は、言葉は悪いが…半ば”捨て石”のように前半から猟犬のごとく相手を追い回し続ける役目を担い、自身の結果はなかなかついてこなかった。

これはなかなかツラい状況だっただろう。チームの勝利のためと頭ではわかっていても、スタメンで出たい、フル出場して結果を出したいと思うのは選手の本能だから。それがチームの勝利に結びつかなかった連敗中の苦しみは、どれほどだっただろう。

同じことはパウリーニョ/ウェズレーにも言える。パウリーニョはチームが波に乗ったマリノス戦のハンドから逆に出番を失って、スタメン出場を求めて松本へ転籍。ウェズレーはフィットも何もほとんど出番さえなく帰国。輝きの片鱗は見られただけに、惜しい存在であった。

監督自身にも今年は試練だった。2ndの連敗地獄の途中で、どうやっても流れを変えることができなかった。無策だったとは言わないが、天皇杯徳島戦まで状況を変えられなかったのは、痛恨の極みだっただろう。トップチームの監督になって一番苦しかった時期じゃなかろうか。

一番勝ちたいと思っているのは、選手達本人。その選手達を勝たせてやりたいと一番近くで強く思っているのは、監督。勝利への方策を指し示すのが監督の仕事であり、監督の指示を越えて試合で輝くことこそが、選手の成長につながっていく。試合をするのはあくまで選手だ。

そういう意味では、監督の思惑を越えて試合で輝いた選手が少なかったのかもしれない。大槻がスタメンでのチェイサー以上になれていたら、アーリアが大槻以上に走り回れていたら。ウェズレーやジネイがもっと早期にチームにフィットできていたら。

その一方で、監督にあと一歩の手段と柔軟性があったらまた違ったのかもしれない、とも思う。その”存在感”と”言葉力”には疑いようもないけれど、ここまでチームが凝り固まる前に、何とか打開してほしかった。「たった1試合で打開できてしまう」程度の紙一重だったのだから。

【遅すぎた原点回帰】

9/22、天皇杯徳島戦。ここで『理想の最大公約数』を示したことで、チームはようやく息を吹き返した。ホーム最終甲府戦で勝ち、最終戦に望みを託した名古屋を道連れにして、世界を目指した柏を撃破。そこから現在まで、降格が決定した大宮戦以外無敗という極端さである。

ようやくチームにフィットしたジネイ。完全復活したやーまん無双。終盤に何とか間に合ってくれたシュンスケ。チームが本来持っていて発揮できたはずのチカラが、やっと一つになった。

記事にはできなかったけれど、BTV杯のベトナム遠征でも、ラフい相手に揉まれながらも若手中心のメンバーで優勝という結果を持ち帰ってきた。長い中断明けになるけれど、クリスマスイブの天皇杯大宮戦さえ突破できたら、元日の大阪が見えてくる。

今のチームのサッカーが見られるのは最大で3試合。心して味わい、楽しみたいものだ。