その瞬間まで、湘南ゴール裏は声を張り上げ続けた。１点差、ロスタイム。２失点して目が覚めた大宮との真っ向勝負の殴り合い。最後のパンチ…やーまんのヘッドがクロスバーを越えた瞬間に試合が終わって、湘南のＪ２降格が確定した。
シーズンの総括はリーグ戦が終わってからするとして、この日は攻撃の及第点だったろう。あっけないミスからの失点が続かなければ、鬼門大宮の突破の可能性は十分もあったはずだ。
１失点目。右サイドからのフリーキック。大きく弧を描いてゴール前に落ちてくるボール。村山くん、君は競り合いの集団に割って入っておいて、何で先に触ってパンチングもできないの。できないのに何で飛び出したの。三竿くん、君はボールもマークも見ないで何をコケてんの。
２失点目。５分後。何だい、ガックリきたのかい。４人もいた右サイドを１回のワンツーで素通りされて、コースを塞ぎに来たはずのバイーアさんの股を通されて、ニアをケアしていた村山をあざ笑うかのようにゴール左隅に流し込まれた。脆すぎるよ…ありえない。
３失点目。コーナーのこぼれ球を放り込まれて…また君かね三竿くん。競れてないよ、体格で劣るなら飛ぶタイミングで勝負しなきゃいかんのに、何でムルジャをフリーで飛ばせてるのさ。次の１点を先にとらなきゃいかん展開で、後半７分でこんな失点してちゃアカンて。
３失点とも、カウンターで無人のスペースをえぐられたわけじゃないからね。人もいた、マークも出来てた。その上で、この負けられない試合で、三度も対応を誤った。ミニキャンプでセットプレー対策だってやってきてるんだろうにさ。どこかで１点でも防げていたら…。
３点リードになって少々緩んだ大宮相手にギヤを再び入れ直して猛追したのはいいけれど、結局追いつけず。３点差あってこその２点という気もして、額面通りには評価しがたい。ただ攻撃自体の圧力は出せていた。それを、失点のだらしなさが台無しにしてしまった。
でもね、ゴール裏は４点取り返すんだ、逆転させてやるんだって最後まで戦ったよ。大宮の狭いビジターエリアに押し込まれてることを感じさせない声量で、ピッチの選手を後押しし続けた。
俺もできるだけピッチに近いところからこの日を見届けたいと思ったから、朝５時に起きて、８時前には待機列には到着。それでも幅の狭いエリアの中でピッチに近い空き地を見つけるのに苦労した。柵の２列目にようやく居場所を見つけてホッとしたら…。
スタジアム、インしたおーヽ(･∀･)ﾉ。わーい二列目前列ひとつ空いてたー…と思ったら、ちょお中心地だったでござる(；・∀・)。 #bellmare pic.twitter.com/Nq8AnCyt2Z— レヴィ (@revys48) 2016年10月22日
いやーびっくりした。あんなに応援の中心地に入りこんだのは初めてだったからね。でもまぁ、場所はどこでも全身全霊を出し尽くすって決めてたから、試合中に肋骨がきしむまで声を出したよ。試合後には足の裏がつって、腕が上がらず、腰が伸びなかった。
試合後は、身体の限界と、降格の事実に打ちのめされて、スタジアムの外で３０分くらい動けなかったな。吹き抜ける秋の風が冷たくて心地よい。心が折れた時点で覚悟はしていたけれど、決まってしまうと辛くないわけもなく。輝ける２０１５年から、たった１年。信じたくない。
納得はいかないが、これが現実だ。結果が出てしまった今、どんなにシマラナイ試合になったとしても、ブーイングは無意味だ。だから、試合後は拍手をした。来年こそはの祈りをこめて。皆同じような気持ちだったのだろう、拍手が大勢を占めていた。
次節はホーム最終戦。降格圏最後の一枠の渦中にあり、何かと湘南と縁のある甲府。…なんてことは、今となってはどーでもいいんじゃ。６月１８日からホームで勝ってないんだ。最終戦セレモニーを、せめて笑顔で迎えさせてほしい。こんなにも哀しい一年だったのだから。
