湘#48 れび@湘南サポBLOG Ver.2

スポーツナビ+(ブログ)サービス終了に伴い、引っ越してきました。湘南ベルマーレを応援していきます。

【J1・1st第14節_vs名古屋(H)】 『救世主』○2-1

ホーム初勝利を目指して、水を得た魚のごとく選手は走った。今年のショートパスで打開する攻撃は割合を下げて、ここ数年の湘南スタイルが融合しているように見えた。縦に早く人数をかけた押し上げが久しぶりにハッキリ見られたのは嬉しい限り。

それは名古屋の試合の入りが悪かったのもあるだろう。適度に空いたブロック、距離を詰めてこないディフェンス。城福東京の苛烈なプレッシングや、甲府の割り切ったドン引きディフェンスに散々手を焼いた事を思えば、湘南の選手達はさぞかしプレーしやすかったことだろう。

それは先制点の場面に如実に現れた。名古屋の人数をかけた攻撃を受けきってのカウンター。ダイスケ→追い越した三竿と左サイドに展開しつつ、中央を5人が駆け上がる。ここでアーリークロスを入れても良かったが、一度ボールを下げて仕切りなおした。

センターサークル付近でパスを受けたのはしまむー。自分の前のスペースが開けていて、名古屋の選手が攻め上がった湘南の選手のマークで手一杯と見るや、わずかツータッチでペナルティエリア手前まで侵攻してミドルシュート。GKが弾いたボールを端戸が詰めて先制ゴール。

人数をかけた攻め上がりと、視野の広い展開。この辺りは最近なかなか見られなくなっていたものだ。ショートパスでの打開と両立できるようになれば、攻撃の幅が広がっていくだろう。

自分自身監督として今年の選手たちを預かる中で、自分が選手たちに求めてきた方法論自体がどこかやっぱり間違っているっていうか、少しネジが外れてるようなところを自分自身で今週の練習中に感じたので、そのネジが外れたことの話を選手たちと共有しました。

要はピッチの中で自分たちが自立してやってかないと、ピッチの中で起きることに監督やコーチは助けてくれない。

基本的な戦術的なことというのはもちろんチームのDNAであるんだけども、そこのところのプレーの責任とか、勝ち負けの責任というのをしっかり選手たちに負わせることが、情けないながら今週の練習中に少し強く思ったことでした。

今年の湘南は無意識のうちに『お約束』に固執しすぎていなかったか。自分達のサッカーを貫こうとするあまり、いつしかサッカーが単調になってはいなかったか。それは監督の指導というよりも、苦しむほどに選手達の視野が狭くなってしまっていったりという感じで。

そんな印象が名古屋戦では薄れていたのが、監督の何某かの気づきと言葉で開放されたおかげなのだとしたら、今後が楽しみだ。それほどにこの日の選手達のプレーは伸びやかだったから。

個人的に目を引いたのは神谷。高卒ルーキーのリーグ戦初スタメンとは思えない、アグレッシブな、かつ地に足の着いたプレーを攻守に見せていた。笑われるかもしれないが、神谷のプレーに日本代表でのヒデの姿が時折重なって見えていた。パスの出しどころを探す姿などは特に。

しかし、好事魔多しというか何というか。後半から古林氏を投入して、前への推進力が増した名古屋にうまく対応し始まめていた56分。ペナルティエリア近辺で相手に背を向けてパスを受けた神谷くん、背後からボールを掻っ攫われて同点ゴールを許してしまう。

リーグ戦デビューで、チームの勢いを止めるミス。それ以降もミスを引きずっていたというほど悪いプレーではなかったが、交代選手の準備ができたであろう66分に交代。その瞬間には膝から崩れ落ちるほどショックを受けていたのだから、早めの交代は仕方無しか。

ベンチでガックリ肩を落としつつ戦況を見つめる神谷くん。古林氏投入と同点弾で、俄然勢いを増す名古屋の攻撃。このまま試合が終わっていたら立ち直るのが大変だったかもしれないが、一進一退の展開から彼を救ったのは、生え抜きの救世主の一撃だった。

スローインから下田北斗が右サイドから完璧なクロス。大槻のジャンプが囮となって、その背後のダイスケをアシスト。後半マッチアップしていた古林氏を置き去りにして滑りこんだダイスケの左足はボールをきっちり捉え、ゴールの右サイドネットに突き刺した。

一直線に湘南のベンチに走っていったダイスケに、最後まで抱きついていたのは、ずっと自分を責めていただろう神谷くん、試合後の挨拶までずっと泣いていた。勝利で終われたことで、この一夜の出来事は何事にも変えられない神谷くんの宝物になっただろう。

「次は自分がみんなを助けるプレーをしたい」という想いを忘れない限り、もっともっと大きな存在感の…それこそ本家ヒデを追い越すような選手になれる器だ。精進していってほしい。

ごちそうさまです!昨日はみなさんに助けてもらいました。次は自分がチームを助けられるように頑張るので応援よろしくお願いします! pic.twitter.com/HT60XJhSYw— 神谷 優太 (@kamiyu0424) 2016年5月30日

↑この救世主様の御尊顔よ…w。この日のゴールが、神谷くんを救い、更に2016年の湘南ベルマーレのシーズンを救うゴールになるのか。全てはここからの戦い次第だ。

ホーム初勝利。今年初めての、幸せなエンディング。勝利のダンスには控え選手まで全員揃った。まるで全てが終わったかのような、全ての始まり。湘南に関わる全ての人が、この日を待っていた。これでまた、前を向ける。

消化試合になってしまったけれど、週末の菓子杯神戸戦@福島は、湘南が再スタートをするための大事な試合になる。神戸は負け無しでグループステージを突破しようとしている相手。福島の観客にJ1のサッカーを、湘南のサッカーを魅力的だと思ってもらえる試合をしてほしい。

最初は日帰りで済ますつもりだったけど、急遽予定を変更して、前乗りして飯坂温泉で一泊してくることにしました。温泉で癒され、試合でも癒やされて帰ってこれるといいんだけど…w。