残り時間がほぼゼロなのはわかってた。とっととプレーを切っていれば。浅野への縦ポンに軽い対応をして、フリーでボールを蹴らせなければ。星矢に当たったボールがゴール方向に跳ねなければ。…たらればは尽きない。試合終了まで耐えさせなかったのは、昨年王者の意地か。
イヤでも思い出される去年の最終戦。あの時の脅威の完成度を思えば、流石にまだ開幕3戦目、それほど広島の完成度は上がっていないように見えた。キックオフ直後から圧されまくっていたが、珍しい(そしてあまり良い思い出の無いw)4バックで何とか対応はできていた。
困ったことに反対に湘南の攻撃は、前半はまるっきり形にならなかった。何と言ってもシュート本数は1本。広島の怒涛の攻勢を防げてはいるが、前への圧力が出せないでいた。
ハーフタイムで思ったことは、これは我慢比べになるな…ということ。ノーゴールに防いでいる間に広島が焦れて隙を見せるか、ダムが決壊して湘南が失点を重ねるか、どちらが多いかだ。
まずは後半開始直後、広島が隙を見せる。DF陣の寄せが甘いと見るや、パウリーニョがやや遠目からのミドルシュート一閃。無回転の豪快な一撃で、あれだけ劣勢だった湘南が先制する展開に。更に攻勢を強める広島に対して、湘南もホントに少しずつ前に出られるようになっていく。
それでも流れを押し戻すまではいかず再び押し込まれていた65分あたり。広島のCKで、何やらオカシな形でPKをとられて同点に。ま、それについてはいいですよ。ここまでよく無失点で来られたからね。どう見ても相手が自分から巴投げしようとしてるようにしか見えないけどw。
しかし同点に追いついて浮足立ったか、広島が再び綻びを見せる。ボールを持ったミキッチから高い位置でボールを奪い速攻、藤田祥がゴールに流し込んで勝ち越し。奪えなくても愚直に前から追い回し続け、攻撃をひたすら耐えてきた積み重ねが生んだ、会心のゴールだった。
そこからの残り20分は、もう祈るばかり。追加点を奪いに前に出ていけずにひたすら耐えるしかない湘南。しかし広島の攻撃は、やはり前節川崎ほどの脅威ではない。対応を間違いさえしなければ…という期待はあった。あとはロスタイムのみ…4分、長いよ!
そして…一番最初の段落に戻るわけですな。今度は湘南が、こらえきれなかった。最後の最後で焦りが出て、プレーを急いでしまった。これで開幕から3戦未勝利、2試合連続のロスタイムでの失点でのドロー。前節以上に、勝てた試合だっただけに悔しさが募る。
勝ち点6が2なわけだから、そりゃ結果だけ見れば散々なモンだ。だけど内容を考えれば、必要以上に悲観的になる必要は全く無いのだ(断言)。ベクトルこそ違えど、川崎戦も広島戦も、やろうとしたことについては最低限実践できていたのだから。
しかもこの2戦のアウェイ、去年はどちらも敗戦しているところを今年はドローに持ち込めているんだ。完成度の低いうちに対戦して勝ち点を拾えたという事実は、そう悪いことではない。終盤になったら、この2戦で拾った勝ち点2が、きっと大きな意味を持ってくるハズだ。
いや、もちろん勝てていたらそれが一番なんだけどね…ぐぬぬ。
今年の湘南はどうなるかと不安はもちろんあった。去年までより若干チームの幹は細くなった感は今も拭えないけれど、その分先鋭化されていると感じる。十二分にやれているよ。今は我慢の時だ。ここでブレたり焦れたりしたら、それこそこの2戦が無駄になる。
川崎と広島相手に、ここまでやれたという自信を胸に、平塚で浦和を…ワタルを迎え撃つ。かつてはそびえ立つ壁だったが、今はもうブチ破る障害物だ。全力でぶつかって、今度こそ叩き壊してやろう。今期初勝利がホームで浦和…今のチームなら、やってやれないことはない!