胸の奥に秘めていた想いが爆発した。覚悟と決意とこれまでの苦悩とを胸に浦和を飛び出した、山田の湘南での初ゴール。彼にとっても湘南にとっても、新しい扉を開く大きな意味を持つゴールになったはずだ。
お互いサブメンバー主体のスタメン。しかし試合が始まってみると、序盤は明らかに湘南が勢いで優っていた。スタイルを発揮してやろうという意気込みは十分に感じた。もっとも松本の選手の方はともかく、湘南はリーグ戦でも出番がある選手ばかり。やってもらわねば。
先制点は、松本の選手が一人足を痛めてピッチ外に出ていて数的優位の時間帯。ゴール前まで縦への鋭いパスを通してから、スルっと横にボールを流し、フリーになっていた武田にボールが渡る。武田が余裕をもって足を振りぬくと、豪快なミドルシュートがゴールに吸い込まれた。
序盤に先制できたことでチームに余裕が生まれたか、前半はほぼ湘南のペースで推移。この流れで前半のうちに追加点が取れていれば楽になれただろうが、そう簡単にいくわけもなく…。
後半に入ると、松本の反攻に押し込まれる時間帯が増えていく。しばらくは耐えていたが、自軍ゴール前で特別指定選手として加入したばかりでこの日初出場だった日体大の高野が、ＧＫへのバックパスをミス。相手にボールを掻っ攫われ、同点ゴールを許すきっかけを作ってしまう。
しかしプロへの一歩を踏み出した彼は不屈だった。それからも果敢なプレーを見せ、一度は攻め上がりからの絶妙なクロスでコバショーのダイビングヘッドを演出してみせた。デビュー戦でのチームの勝敗に直結しかねないミスは、きっと今後の糧になる。これからも精進してほしい。
偶然なのか監督の想いなのかはわからないけど、ミスってから誰が見てもわかる好プレーを見せたという経験をさせてからの交代になったのは、高野にも救いになったと思う。
高野と交代でピッチに入ったのが、山田だった。時間にして７２分。ミスに屈することなく闘った高野の想いを受け、胸の奥で静かに燃える炎を爆発させたのは、その５分後だった。
その瞬間の山田の咆哮は、きっと今まで彼を遮っていた壁を粉砕するものになった。今後の湘南の公式戦だけでなく、来年以降どこにいるのかわからないけど(もちろん全力で残留希望だが)選手生活のターニングポイントになったと思わせるスーパーミドルだった。お見事！
これでナビ杯、２勝２分で２位。ただの育成タイムで終わらせずにキチンと結果につなげられているのが頼もしい。十分グループリーグ突破を狙える位置、ここまで来たら目指してほしい。
次の試合は…ってもう今日やん。リーグ戦でホーム清水戦ですよ。ここまでなかなか波に乗れずに下位に沈む相手、復活のきっかけを与えずに大人しくしていてもらいたいものだ。ちょっと風邪気味だけど、アウェイなら自重するけどホームだからね。マスクして参戦してきますよ。
ちなみに今回の記事の画像が他の記事と比べてボヤけてるのは、デジカメがご臨終でスマホのカメラで撮ってきたからです。買い直したので次回からは戻りますｗ。
