公式戦５試合勝利無しの湘南、公式戦６連敗の松本山雅(しかも連敗の始まりがナビ杯湘南戦だったり)。どちらも勝って１ｓｔ最終戦を飾って自信を取り戻したい一戦。試合前のアルウィンには、乱れる試合を予言するかのように、とんでもない暴風がを吹き荒れていた。
コイントスで風上を取ったのは湘南。意気込みと体力の満ちている間に、追い風の強みで先制点を奪って主導権を…という目論見は、あまりの暴風に吹き飛んだ。
積極的に縦に早い攻撃を仕掛ける湘南だったが、あまりの『追い風』にボールが伸びすぎてしまいチャンスにつながらない。風を意識しすぎて攻撃が良い形にならない湘南とは対照的に、山雅の縦パスが、伸びすぎてラインを割りそうなボールも押し戻されて絶好のパスになる場面も。
後半はセットプレーに強みを見せる山雅に風上を取られるだけに、どんな形でも先制しておきたかった。しかしシュート９本対１本と押しに押しまくったが、結局スコアレスで前半終了。
ハーフタイムの間に暴風はずいぶん弱まり、後半開始時には極普通の風の強い日(？)になっていた。これで一方的に放り込まれ続けるような展開は無くなるか…と胸をなでおろしたが、今度は試合自体が嵐のように荒れ狂う。怒涛のジェットコースターサッカーの開幕だった。
まず後半開始早々に湘南がＰＫを与えてしまう。現地では「あー角度によっては後ろからに見えるかなー」とも思ったが、スカパー映像を見ると悪質なチャージには見えないが…無念。しかしその直後、先制を許したことを悔いる間もなくＦＫからのオウンゴールで同点に追いついた。
ＰＫで拾ったリードを、あっという間に失った山雅の動揺は相当のものだっただろう。そして新潟戦で失点から自分達を立て直せなかった湘南が、すぐに顔を上げて攻勢に出られたからこその同点劇。今回は下だけは向くものかという意地を感じられて嬉しかったなぁ。
逆転のゴールを決めたのは、復活のコバショー。右サイドで受けてから内に斬り込んでいき、裏へ走りこむ湘南の選手に釣られたＤＦをはがして更にゴール前に侵入してシュート。コバショーの前に３人走りこんできており、チーム全体での縦への意識が生んだゴールだった。お見事。
しかし連敗脱出に燃える山雅の執念が、試合終盤８７分に再び試合を動かす。ここまでほぼ跳ね返し続けていたオビナへの放り込みをこの場面でダイスケが競り負けて、ＤＦ陣とＧＫの間の絶妙な位置に落とされて同点ゴールを許してしまった。流石のリーチ一発の破壊力。
だがドローで終われないのは湘南も同じ。同点弾の余韻の中で告げられた藤田祥史の投入。交代を告げる場内アナウンスすら終わらない８８分に、その藤田祥の決勝ゴールが生まれた。
左サイドからの三竿のクロスに大槻が飛ぶ。ＤＦが釣られるが大槻は囮、本命は時間差でジャンプしていた藤田祥。ファーストタッチで値千金のゴールを決めてくれた。怪我明け復帰戦の新潟戦ではハマらなかったけど、湘南移籍後の初ゴールが１ｓｔに間に合ったのは大きい。
長い長いロスタイム６分(！)の何度かあった大ピンチを凌ぎ切って掴み取った勝利は、２０１２年通年での勝利数に１ｓｔだけで並ぶ６勝目。今シーズンの様々な課題を意識しつつ、負けられない相手に内容を伴う勝利を掴んだ。２ｎｄに向けて大きな一歩になったのは間違いない。
１ｓｔの最終順位は１０位、勝ち点２２の３チームの中での３番手。勝率五割には届かなかったけれど、６勝７敗４分という成績は十二分に及第点。自分達より上位に対しては１勝６敗２分、下位に対しては５勝１敗２分というわかりやすさｗ。「戦えている」という実感はある。
技術は誰もが認めつつもチームにフィットできなかったブルーノ・セザルが、半年の契約を延長できずにひっそりと退団。怪我人が戻ってきて調子を上げてきているのは好材料ではあるが、何とか代わりの助っ人を呼べないものか。あのキリノが練習に参加してたらしいが、どうなるか。
２ｎｄの開幕戦は、溶けそうな暑さのアウェイで０－３の惨敗を喫した名古屋。ホームでリベンジして、最高のスタートを飾りたいものだ。誕生日にホームで試合があるのは初めてなので、是非ともバースデーウインという最高のプレゼントを期待しておりますよ。いやホントにｗ。
