一瞬の静寂のあと、じわじわと広がる歓喜の波。勝って決めたかったのは山々だけど、積み重ね続けて届いた頂点の高さはウソをつかない。開幕前は夢でしか無かった優勝しての昇格を、やっと掴んだ瞬間だった。
一年前は悔しさに溢れた味スタに、再び集った湘南サポーター。試合前に松本山雅の勝利は当然ながら皆が知っている。声出しが始まった瞬間から、勝って自力で優勝を決めてやるという気合が満ち溢れた。ゴール裏は試合前から完全に『出来上がった』。あとは勝利だけだ！
…しかし試合は序盤から難しい展開になる。中盤から要所で潰されて、攻撃がなかなか形にならないた。危険な場面こそ少なかったが、鋭いカウンターで何度もゴールに迫られた。優勝決定試合だというのに全くの一進一退…いや、スタイルを出せていない時点でヴェルディペースか。
Ｊ２残留争いの渦中のヴェルディ。監督交代の好影響もあってか、ドン引きカウンターだった前回の対戦とは丸っきり印象が違った。互いに積極的に勝利だけを目指す、熱い試合になった。
目の前で優勝を決められてたまるかと、勝ち点３を奪いに来るヴェルディ。引き分けでも優勝、だけど勝ちに行くぞと闘志を奮い立たせる湘南。そこにわずかに攻め切れない差が生まれたかもしれない。選手交代でギアを入れ替えて攻めるも、ゴールを奪うことはできなかった。
本当に「らしい」攻撃ができるようになったのはラスト１０分くらい。昇格決定の京都戦に続いて、優勝決定試合でも苦しんだ。それはまだチームが成長できるってことでもある。
今年のＪ２は、天皇杯準決勝に２チーム勝ち上がるほどには厳しいリーグ。その中で結果を残し続けて、ついにベルマーレ史上初のリーグ戦優勝。味わったわずかばかりのほろ苦さも、必ず来年以降に向けてのチームの糧になってくれるはずだ。存分に味わうとしようじゃないか。
優勝を決めても、目標が失われたわけじゃない。現在勝ち点８９。残り６試合で最大に積み上げたとして勝ち点１０７。Ｊ２歴代最多勝ち点１０６を越えるチャンスは、まだ残っている。
その次節は、ホームで長崎戦。アウェイで対戦したのは…もうすげー前な気がする３月頭。晴天での初のゲームで、今年の躍進を感じさせるナイスゲームを見せてくれたっけ。あれからチームの成熟が進んだであろう相手に、簡単に勝てるとは思わない。
た・だ・し。
昇格決定試合も、優勝決定試合もドローで、シャーレ授与試合もってのは流石に無いよね。
今度こそスカッと勝って、皆で笑顔でシャーレを胸張って掲げましょうや！
