試合はがっぷり四ツに組んだ攻防になった。特に後半は完全に富山ペースで、むしろ決定機は富山の方が多いくらいだった。湘南が勝てたのは富山の決定力不足と、試合終了直前にワタルが頭ひとつ抜け出せたというだけだ。
まずは守備をキッチリというのは変わらないものの、ドン引きでゴール前を固めて…という感じではなかった富山。それなりにスペースはあったので、湘南の攻撃の形はできていたが、ラストパスやクロスがどうにも合わない。
そのクロスがＤＦの頭を越えていれば。その縦へのスルーパスが通っていれば。最後の一枚の壁のところで、粘り強く跳ね返されてチャンスが潰える。前節から引き続いて大きなミスも無いし、このまま続けていければいつかは…という想いもあったのだが。
前節東京∨戦では、枠に飛ばなくても思い切り良くシュートを打てていて、それはそれで問題ないと思っていた。今回は、なまじ斬り込んでいけるものだから、かえってシュートに思い切りが足りないように見えた。
連勝中のピークの時は、ピシピシとボールが通って、タイミングよく仕掛けて行けていたものだ。しかし今の姿がリスタート後のリアル。大事に行こうとすれば迷い、迷いが攻撃を鈍らせる。当時が出来すぎだったんだという事を受け止めて、かつての自分達を目指して再び牙を研いでいくしかない。
そして後半。同じように攻め立てるものの、今度は鋭いカウンターを食らう湘南。フィニッシュの精度で助かってはいるが、あわやの場面を何度も作られた。これで先制されていたら愛媛戦の繰り返しになるところだった。シュート数は湘南：富山＝１８：１３。ここまで攻めこまれた。
繰り返しになるけれど、守り切ったんじゃない。富山が外してくれただけだ。足をつりかけていた富山に対して、最後まで足が止まらなかったことで最後の最後にワタルがフリーになれて決勝ゴールが生まれ、薄氷すぎる勝利を掴むことができた。勝敗を分けたのは、ワタルの頭一つ分の差でしかなかった。
…もちろん、そのわずかな差を生み出すための湘南スタイルなんだけどね。
それにしても富山。余計なお世話なんだが、こんだけ逞しいサッカーができるのに、最下位で連敗してるなんてもったいないよ。監督交代って話も出てきているみたいだけど、ホント頑張って欲しい。
次節は讃岐戦。富山と共に下位に沈んでいるものの、今節ホームで札幌をウノゼロで振りきって２勝目と、調子は上がっている。シュート２１本の乱れ打ちを防ぎきったというのは、愛媛戦を思い出してしまう。いよいよコシが強くなってきたか。
迎え撃つ湘南としても、ホーム無敗はまだまだ継続していきたいところ。簡単に譲るわけにはいかない。磐田戦に流れをつなぐ、なんて考えていたら足元を救われる。まずは今節出た課題を消化して、目の前の試合に勝利すること。
最近怪我人が増えてきたのが不安だけど、今まで控えに甘んじていた選手たちの奮起のしどころ。帰ってくる場所がなくなるくらいの活躍を期待する。
文字の大きさ、前２つの記事は「デフォルト」。今回は「中」。個人的には今回くらいが見やすいな、うむ。
