「試合終了のホイッスルが鳴った時は、今年一番悔しかったです。」永木キャプテンの試合後のコメントだ。4月のアウェイでの試合後でもやはり悔しがっていたのだが、全くの真逆の内容になった。
『J1開幕から6戦勝ちなし…。湘南ベルマーレが感じた浦和レッズとの実力差』
「レッズは相当強かった。正直、自分がプロになってからやった相手の中で一番強かった。今日は何もできなくて本当に不甲斐なかった。彼らはパス回しで崩すとかやりたいことをお手本のようにやってくる。本当に悔しいですね…」
『今節試合後のコメント(ベルマーレ公式)』
「試合終了のホイッスルが鳴った時は、今年一番悔しかったです。こういう風にできればいいなと思っていたことができていたと思います。チームの戦術や個人のところは、前半戦で浦和と戦った時よりもかなり手応えがあったし、90分を通してこういう戦いをこれからも続けてできればと思います。」
このコメントの変わり様である。何も出来なかった不甲斐なさを嘆いた4月から五ヶ月。今節の激戦は湘南ベルマーレが経験を積み重ね、成長の歩みを止めなかったことの証だ。
前線のワイドに起点を作られていいように展開されて、相変わらずのセットプレーの弱さでCKから先制された前半。されど、後半になっても前節までの気持ちの入ったプレーを持続できていた。
そして浮沈の懸かった湘南の強い想いが、首位を追いかける浦和のそれを、終盤わずかな時間だけ凌駕した。FKからのゴール前の競り合いで、上がってきていたワタルがPKを引き出して同点。それからわずか6分後、久しぶりの流れの中からの得点で、浦和を突き放してみせた。
中途半端なこぼれ球を、高く張っていたワタルが拾う。
ワタル、右サイドに走った永木へパス。永木、前線のコバショーへパス。
この時、ウェリントン・ステボ・大竹・高山が既にゴール前。
そこに更に、起点になったワタルが走りこんでくる。
ドンピシャのタイミングでコバショーのクロスが入り、ワタルのヘッド。逆転。
永木も含めて実に6人という人数をかけてのゴール。何度観ても涙が出てくるくらいの『This is 湘南スタイル』。しかもそこから守るわけじゃなく、更なる得点を求めて浦和ゴールに斬りこんで行くのだ。最高潮に達した湘南サポの熱気が、チームの背中を押す。
しかし最後の最後で、強い想いが空回る。まだ無理をするところじゃないセンターサークル付近で大竹が引っ掛けて倒してしまい、二枚目のイエローで退場。その時89分、ここでプッツリ勢いが止まってしまった。大竹が消えたわずか1分後、本来の浦和の姿の華麗な展開からの同点ゴールが生まれ…試合終了。
軽率だったとは思うけど、大竹は責められない。それでも、勢いが途切れる要因が無ければ、勝てた試合だった。「あの」浦和に、内容を残した上で勝てたかもしれなかったのだ。
残り7試合、甲府との勝ち点差を1縮めて5差。失った勝ち点2を嘆くよりも、今は掴みとった勝ち点1と『湘南スタイル』への自信を手に上を向こう。浦和にここまでやれたなら、同じように前回歯が立たなかった名古屋相手にだって、同じことができるはずだ。
キーマン大竹がいないなら、そこに新たなヒーローが生まれるはずなのだ!