ターニングポイントは、後半開始直後だった。右サイドの大槻のクロスをウェリがダイレクトボレーで合わせて湘南ゴールを強襲してからの波状攻撃。あれがゴールマウスに嫌われたことで、その直後の湘南の2点目が大きな意味を持った。
神戸からすれば「取れる時に取っておけば」の典型のような形で、ショックも大きかっただろう。あそこで同点に追いつかれていたら、その後のイニエスタ投入で流れを持っていかれたかもしれない。
あの時点で2点分の余裕があったればこそ、イニエスタ登場で最高潮に盛り上がったスタジアムの空気に惑わされることもなかった。『0-2は危険なスコア』の流れに一歩も踏み込むことはなく、神戸に完勝して前半戦を締めくくることができた。
イニエスタ!イニエスタ!イニエスタ!
最寄り駅にはイニエスタ&ポドルスキの告知ポスター、スタジアムに来れば既にそこら中でイニエスタユニの神戸サポさんばっかり。流石の人気、知名度、期待度。この日の主役は間違いなくイニエスタだった。
そりゃそうだ、先日まで開催されてたW杯にも出場していたスペインの至宝であり、最強バルサを支えた世界最高峰のミッドフィールダー。ほとんど海外サッカーを観ない俺ですらよく知ってるのだから、観てる人からしたら生ける伝説だよ。
だからさ、ほら、ねぇ。ビジターのユニ着たままの販売列にニコニコ並んで、イニエスタのグッズを少々買ってしまったとしても仕方がないと思うんだw。
三木谷さん、楽天がバルサのスポンサーになった頃から誰かしら連れてこようと狙ってたんだろうなぁ。入場料+レプユニ+グッズ+宣伝費で、32億円なんてすぐにペイできてしまうんじゃなかろーか。大したものである。
今回のところは少々パスが通せる程度だったけれど、これでチームにフィットしてきたら…当然だけど相当怖い。これから先、どんな活躍をしてしまうのだろうか。
スタメン
【J1リーグ第17節アウェイ、ヴィッセル神戸戦スタメン】
— 湘南ベルマーレ (@bellmare_staff) 2018年7月22日
GK:秋元陽太
DF:岡本拓也 坂圭祐 大野和成
MF:藤田征也 齊藤未月 秋野央樹 杉岡大暉
FW:菊地俊介 山﨑凌吾 梅崎司
サブ:富居 アンドレバイア 石原 石川 高山 山口 鈴木 #bellmare pic.twitter.com/3VHPZRxi9D
3バックはセンター坂、左に大野、右に岡本。中盤の底を支えるのは秋野と未月。左ワイドに杉岡氏、右ワイドに復活の星矢。最前線はキクシュン梅崎に…山﨑凌吾!
大野と星矢がスタメンに戻ってきてくれたことで、かなり選手層に安心感が出てきた。そしてリョーゴ。徳島から加入したばかりのレフティは、まるで数年前から在籍していたかのような馴染みっぷりを見せてくれた。これからが楽しみだ!
前半~2点目
神戸は、坂が何故3バックの要としてスタメンを勝ち取っているのか、ロクに調べていなかったのだろうか。拍子抜けするほどアッサリと、先制点の場面は訪れた。
前半10分、ショートコーナーからのクロスに、タイミングとジャンプ力で周りから頭一つ抜け出す坂。そこから子供たちへのお手本になるような、豪快かつ美しく叩きつけるヘディング弾で先制点を奪ってみせたのだ。
【公式】ゴール動画:坂 圭祐(湘南)10分 ヴィッセル神戸vs湘南ベルマーレ 明治安田生命J1リーグ 第17節 2018/7/22
初ゴールで存在感を示した坂は、それ以降もハイボールの競り合いで抜群の強さを見せた。とある場面では"あの"ウェリを相手でもタイマンで競り勝って、バイーアさんとポジションを争うだけのポテンシャルがあることを証明し続けた。
もちろん坂だけでなく、選手同士の連携で守備はほぼパーフェクトだった。前節の反省を活かしてラインを高く保持して、デンジャーゾーンに侵入されれば複数人でボールを奪い、ショートカウンターで何度となく攻撃できていた。
そして後半、2点目をどちらが取るかで戦局は大きく変わる…というところで、最初に書いたように神戸はチャンスを逃し、湘南は完全に主導権を握った。
【公式】ゴール動画:齊藤 未月(湘南)48分 ヴィッセル神戸vs湘南ベルマーレ 明治安田生命J1リーグ 第17節 2018/7/22
神戸DFが前に蹴り出すところを梅崎が身体に当てる。ルーズボールをヘッドで山﨑に渡し、即座に前に走り出す未月。山﨑から完璧なスルーパスが出て。未月のシュートはやや弱かったが、ギリギリのところでゴールに吸い込まれた。
自分の席からは、未月が中央に走り込みながら「DF裏に出せ」と要求する瞬間がバッチリ見えてた。こちらも記念すべきリーグ戦初ゴールである。
そしてイニエスタ
本当なら勝ってる場面で投入したかったはずだ。そしてそれが出来ると皮算用して、湘南戦に出す宣言をしたであろう神戸。ところが後半開始早々に2点のリードを許す展開に、反撃にリビングレジェンド様に頼る事になってしまった。NDK?NDK?
実際にはイニエスタ投入だけじゃなくて、2点目から神戸湘南共に選手交代で駆け引きを続けていたんだけど、それでも湘南は試合を支配し続けた。前から積極的にボールを奪いに行く姿勢を貫いた結果、試合を決定づける3点目が生まれた。
【公式】ゴール動画:菊地 俊介(湘南)67分 ヴィッセル神戸vs湘南ベルマーレ 明治安田生命J1リーグ 第17節 2018/7/22
またもや神戸DFが前に蹴り出すところを湘南選手が身体に当てる。左サイドに開いていた俊輝にパスが通ると、2人に囲まれてボールを奪…われない!
俊輝の倒れ込みながらのパスを受けた国友が振り向けばDFと1対1…いや、中央を駆け上がってくるのはキクシュン。GKもDFも引きつけたところで出されたパスを、難なくキクシュンがゴールに流し込んで、3点目。
まさかの3失点に、せめて活躍を見せてくれとばかりに、イニエスタがボールに絡むたびにドッカンドッカン大歓声のスタジアム。ただ流石に合流3日では「おおっ!?」となるスルーパスこそあったものの、コンビネーションはほとんど観られず。
湘南はイニエスタという圧倒的な存在感に若干戸惑いを見せながらも、最後まで集中して自分達のプレーを続け、流れをひっくりかえす機会を与えなかった。
そしてそのまま試合終了のホイッスル。日本のみならず世界中の視線を集めたイニエスタのJ初戦は、まさかの完敗でブーイングまで出る事態となった。逆に湘南スタイルの魅力が世界に伝わって…くれたならいいんだけどな。
世界の皆さーん、ここに良い若手がいっぱいですぞー! 今ならお安いですぞー!w
総評:☆☆☆☆☆☆☆☆☆
☆9つは盛りすぎではないだろう。アウェイの地で、リビングレジェンドのJデビューという試合。次節以降だったらここまでの熱狂にはなっていなかったハズで、状況としてはかなり難しい部類だったのは間違いない。
そんな試合で、キジェさんに『監督になってからトップ3に入る』と言わしめた内容での勝利だったのだ。先制・中押し・ダメ押しと良い時間帯でゴールを奪い、攻守で目立ったミスも無く、最後まで安心して観ていられた。
前節リードしていたところからラインを下げたところを押し込まれたから、前半から飛ばしに飛ばしていたこの試合、後半どうなるか不安は少なからずあった。最後まで走り切れたことで、ようやく安心できたかな。
最後にはウェリと大槻にも挨拶できた。これで2人とも『卒業式』かな。神戸の主力として頑張ってくれれば良い良い。8月の平塚でも、叩き潰すけどな!
次の試合は
土曜日にホーム平塚で川崎戦。いよいよ2周目の戦いに突入でありますよ。前回はラッキーボーイだった(過去形!?)天馬の同点ゴールによって1対1のドロー。今の順位の中では最高順位のクラブからの勝ち点になるわけですな。
台風がいつ関東に接近するのかはわからないけれど、これから連戦なんだし暑いよりは涼しい方がいいよね、選手にも観客にもさ。曇っておくれw。
湘南が3戦負け無しなら、川崎は4連勝中。互いに好調のまま迎えるSKYシリーズ。アウェイでの決着をつけて、勝率を5割に戻してしまいたいところ。得失点差もプラスにできたら最高なんだけどな。