見誤っていた。いや、普段の練習を観ているわけではないんだから、素直に知らなかったと書こう。もっと言うならば、他にも穫れる選手はいただろうってくらいには、懐疑的な目で観ていた。クラブや監督の眼力を信用していなかった、のだ。
開幕から不動の3バックを食うくらいの輝きを魅せてくれなかったら、何のための獲得なのやら。話題作り以上のモノを残してくれればいいんだけども。
今年最初の記事でこんな事を書いていたくらいには、 JFLから飛び級でやってきた彼が、この時期でここまでやれるとは思っていなかった。水曜のマリノス戦でもイキイキとやっていたけど、リーグ戦の緊張感とかはまた違うだろうし。
スタメン
【J1リーグ第4節 ベガルタ仙台戦スタメン】
— 湘南ベルマーレ (@bellmare_staff) 2019年3月17日
GK:秋元陽太
DF:山根視来 フレイレ 小野田将人
MF:鈴木冬一 松田天馬 齊藤未月 杉岡大暉
FW:菊地俊介 山﨑凌吾 梅崎司
サブ:富居 中川 秋野 レレウ 古林 鈴木国 指宿 #bellmare pic.twitter.com/0VHNnjjT5R
大野の代わりに"彼"こと小野田さん。つか大野はどうした、どこ消えた。出停岡本の代わりはコバショーではなく冬一。今の優先選択はこうなるか。これはコバショー悔しかろうな。今現在の序列を痛烈に突きつけられてしまった。
よく見れば現在チーム最多ゴールの武富がいない。いないことに気がついたのがスタジアムでのスタメン紹介というね。それくらい不在という事態は想定していなかった。代わりにはウメさんがリーグ戦初スタメン。
サブにレレウの姿もあり、中断期間前ということもあって水曜の試合の勢いをリーグ戦にぶつけていけるメンバーを選びやすかったということもあるだろうか。
試合
去年は4試合で1勝3敗、しかも3敗の内容がどうしようもなく、本当に相性が悪いというか、湘南スタイルの弱点を仙台の渡邉監督に鷲掴みにされてしまっているかのような、本当にイヤな相手なのだ。
仙台さんに対しては去年ルヴァンで1回ここで勝たせてもらいましたけど、アウェイの仙台での試合やリーグ戦の試合では本当に彼らの狙いにハマるような試合をして、試合自体に手応えがないまま終わっていました。
去年のオフのシーズンから、どういうふうにそういう相手と戦おうかというのを考えていた中で、今日選手たちが本当にそのことを信じてやりきってくれたと思いますし、もう一度試合があるので詳しくは言えませんが、今日は仙台さんに対してどう勝つかということだけを考えてやったつもりです。
3月17日(日)第4節 VS ベガルタ仙台 « 湘南ベルマーレ公式サイト
なんとキジェさん、オフの間から仙台に対してどう戦うかを考え続けていたらしい。その成果が出たかのように、立ち上がりこそ拮抗していたが、2得点が決まるまではずっと湘南のゲームだったと言ってもいい内容だった。
球際でも負けず、仙台にほとんどチャンスを与えぬまま、何度となくチャンスは迎えるが得点につながらない前半。このままスコアレスで前半終わったらイヤな空気になりかねないな…と思った前半43分、試合が動いた。
最終ラインにボールを戻した湘南、左サイドからワンツーでスルッと抜け出した小野田さん、ぽっかり空いた広大なスペースをPA手前まで単独で持ち上がる。
外に開いた山﨑にボールを渡し、自身はゴール方向へ走る。山﨑から低いボールが入ると、ニアに走り込んで滑り込むようにゴールに流し込んでみせたんだ。これがJ1リーグデビューの試合とは思えない大胆さと落ち着きっぷりであった。
【公式】ゴール動画:小野田 将人(湘南)43分 湘南ベルマーレvsベガルタ仙台 明治安田生命J1リーグ 第4節 2019/3/17
トルコキャンプでヘビーな練習に戸惑い、苦しむ彼の顔を思い出す。
【会長のPHOTO日記:3月17日】ONODA « 湘南ベルマーレ公式サイト
「無我夢中でした。あまり覚えていませんが、スライディングでゴールを決めた記憶なんてないですね」
「何の迷いもなく、前に出て行ける。これは湘南ならではだと思う。僕自身、やりやすいです」
【湘南】J1初得点の小野田に岡田武史氏から「調子に乗るな」と愛ある忠告 - ベースボール・マガジン社WEB
「小野田はボディコンタクトもそれほど弱くない。どちらかと言えば航に似ている。航の方がもうちょっとゴツゴツした感じがあるけど、スピードは航よりもある」
岡ちゃん“秘蔵っ子”が湘南を勝利に導いた理由とは?(THE PAGE) - Yahoo!ニュース
潜在能力を見抜き、代役以上の活躍ができるまでに鍛え上げてしまえるのだから、大したものだ。キジェさんに見つからなかったら今年J1で見ることもなく、誰にも知られずにJFLで埋もれてしまっていたかも…と思うと、嬉しくなるね。
このゴールシーンに、山根は大いに刺激を受けたかもしれない。何せ2点目のゴール、ボールと絡みながらドリブルしたり追い越したりではなく、躊躇なくフリーランでゴール正面まで上がっていってる。全く無いことはないが、なかなかに珍しい。
後半の18分。少々押し込まれたところで、左サイド自陣深くでウメさんがボールを奪ってカウンター。この時点では最終ラインで守備していたんだ。
DAZNの映像だと、ボールが中央に流れそうかなってくらいのタイミングで、中央から右サイドに寄りつつ全力で駆け上がっている。再び左サイドから攻め上がっている間、ゴール動画が始まる時点では、さも当然な顔でゴール前でクロスを待っているw。
山﨑がニアに走ったことで出来たスペースでボールを受けると、わずかに左にDFをかわしながら、ゴール右側に豪快に蹴り込んでみせたんだ。
【公式】ゴール動画:山根 視来(湘南)63分 湘南ベルマーレvsベガルタ仙台 明治安田生命J1リーグ 第4節 2019/3/17
これで無失点で終われていれば万々歳だったけれど、やはり最後は経験不足が露呈したか。疲労のピークの85分、遠目からのクロスをヘッドでクリアしようとした小野田さん、目測を誤ったかボールに触れず。ハモン ロペスに合わされて失点。
自分のマーク(ハモン ロペス)を外して、誰とも競り合わずにジャンプしてるんだから、あそこはしっかりクリアしてもらわなきゃ。全体的に前への推進力が失われて受け身になっていたとはいえ、それとは関係ないからねぇ。
総評:☆☆☆☆☆☆☆
苦手にしていた仙台相手に、キジェさんの逆襲プランがきっちり決まった。最後に失点こそしたけれど、大筋で湘南のペースで走りきっての勝利で連敗を止めて、リーグ戦の勝敗を五分に戻せた。良い気分で代表ウィークを過ごせますなヽ(=´▽`=)ノ。
それも坂に始まって大野武富も使えない中で、だからね。大野(とコバショー)は、なかなかに複雑な想いだったことだろう。代表ウィークのインターバルで、怪我人が戻ってきた時に(来るよね…?)、どんな勢力図になっているか楽しみだ。
それにしても小野田さん、あらためて見事に「話題作り以上の」大活躍をしてみせてくれた。何も言うことは無い。脱帽である。成功体験だけじゃ終わらなかったのも、今後には良いことかもね。これからも、ミスを怖がらずに糧にしていってほしい。