勝てない時はこういう試合だろうなぁと、想像していた展開だった。怒涛の攻撃も粘りの守備に跳ね返され続け、今日こそ連勝が止まると思われた試合に風穴を開けたのは、三枚目に切られた湘南の"切り札"だった。
まさに完璧なハーモニーが、試合開始から約１０分間続いた。何本のシュートを放ち、何本がＧＫを阻まれただろう。キックオフからフルスロットルで攻め立てるも、とうとう先制できなかった。ここであまりにも歯車が噛み合いすぎて、「やれるやれる」と以降の時間は攻め急ぐ感じになってしまったのかもしれない。
ここ数試合散見されていた攻撃の始動時のミスが顔を出し始め、少々リズムが空回りしながらもゴールに向かうが、やはり決めきれない。いや、そんな雑なハーモニーで崩れるほど福岡がヤワではなかっただけだ。
ＧＫを中心に人数をかけてゴールを守り、こちらのミスに乗じて鋭く攻撃に転じてきた。後半になっても高い集中力と意地を感じたし、どこかで流れを変えなければ…というところで、曹監督は静かにタクトを振った。
後半１５分、まだ元気な武富を下げて岡田投入。後半２７分、右サイドの藤田を下げて、ボランチ岩尾を投入。ダイスケを右サイドに回して、ＤＦ三竿を前に出し、シュンスケを最終ラインへ(大学まではＤＦ)。そして後半３８分、三枚目の"切り札"吉濱を大槻に変わって投入。
それぞれの交代については曹監督のコメントを参照ってことで。何と言っても湘南サポすら驚き、同時に湘南サポだからこそ「もしかして」の期待を込めたのが、今季初出場の吉濱だろう。この選手交代がズバリ的中して、最後の最後に分厚い福岡の壁を突き破ることができた。
二年前の鳥取戦。残り２戦、この試合を勝たなければ自動昇格が遠のく一戦だったが、残留争いの中で何としても勝ち点を持ち帰ろうと鳥取が気合十分で苦戦していた。そこに今回とほぼ同じ時間帯で投入されて、虎の子の決勝点のアシストを決めたのが"ラッキーボーイ"吉濱だった。
自分のゴールが切り拓いたＪ１の舞台を踏むこと無く、福島での一年間の修行を経て、今年は困難な状況を打破する決勝点を自らが決めてみせた。難しい反転シュートを叩き込んだ姿からは、身体的精神的な成長というだけじゃない「このチャンスを絶対に逃さない」という執念を感じた。
そんな吉濱が最新のインタビューに答えていました。「吉濱って誰やねん！」という他サポの人、こんなヤツです。昔はヤンチャしてサッカーから離れたこともあったようだけど、こんなに熱いことも言えるようになった。これからも頼むぞ！
これにて開幕１４連勝、チームの中で熾烈な戦いがあってこその、Ｊ２タイ記録。ここに来てニューヒーローが出てくるんだからねぇ。チーム全体で同じ方向を向いて牙を研いでいけている証だよ。頼もしい限りだ。
そして次節、Ｊ２連勝記録更新を賭けて挑むは、アウェイ愛媛ＦＣ戦。行かないつもりだったけど、参戦してきます！ 日帰りで！ｗ ここまでチームが頑張ってるなら、俺もちったー頑張らなきゃ！！
【ボイス：5月16日】監督・曺貴裁の声 http://www.bellmare.co.jp/104168
↑監督の火傷しそうなｗロングインタビュー。よろしければ。↑
