湘#48 れび@湘南サポBLOG Ver.2

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映画館で映画を観るということ、もしくは『立川シネマシティ』との軌跡【後編】

後編です。寄り道へのリンクも多くて面倒でスイマセンw。 

そして戦車がやってきた

『怒りのデス・ロード』が惜しまれつつもロングラン上映を終え、次の大本命はシリーズ復活作『スターウォーズ/フォースの覚醒』かと思われた2015年末、『ガールズ&パンツァー 劇場版』(ガールズ&パンツァー 劇場版 - Wikipedia)が来襲した。

ガールズ&パンツァー』を簡単に説明すると「女の子が運動部のノリで"人が死なない安全な戦車戦"で闘う/ただし戦車の挙動は実写さながらの本格派」というシロモノ。実際に観てもらった方が早いと思うので、下の動画をどうぞ。


『ガールズ&パンツァー 劇場版』本編序盤 大洗市街戦 一部配信

劇場版以前のテレビ版(2012年)は、名前すら知らなかった。実際に観てみれば、戦車のエンジン音や砲撃音が車種ごとに違っていたり、戦車の挙動が異様なまでにリアルだったり、それでいて運動部のドラマの熱さもあったり。

シネマシティ|ニュース:11/21公開『ガールズ&パンツァー劇場版』音響チーム直接調整【極上爆音上映】決定。なんと『フューリー』も!

「音にこだわる映画館」と「音にこだわる映画」が出会い、映画の音響監督本人が直接調整に加わって出来上がった『作品』は、ドラマの部分ではより繊細に、砲撃戦では実際に戦車戦に巻き込まれたかのような衝撃を生み出した。

その幸せな出会いと親和性は話題を呼び、『怒りのデス・ロード』で既に聖地化していたが、それ以上のムーブメントを巻き起こした。全世界から(海外からも!)休日平日を問わずシネマシティに押し寄せた。比喩ではなく、文字通りに押し寄せていた。

その熱狂の凄まじさは、『スターウォーズ/フォースの覚醒』が公開されて奪われた上映回数を、あっという間に奪還したという事実だけでも伝わってくれるだろう。

シネマシティ|ニュース:立川7回まわし!『ガルパン』1/16-22の週はこれまででもっとも多く、上映します!

やがてその熱狂は他の映画館にも波及していった。後追いでサブウーファーを追加するところもあったし、立体音響による音の迫力だけでなく映像の明るさ/美しさの付加価値もつけられるシステムが改めて脚光を浴びたりもした()。

イオンシネマ系列の『ULTIRA』、サンシャインシネマ系列の『アメイジング・サウンドシアター(imm sound)』、チネチッタ川崎の『LIVE ZOUND』など

いろいろな形態で上映され、その違いを比べるためにファンが各地の上映館を渡り歩くという相乗効果が生まれ、『ガールズ&パンツァー 劇場版』は全国でロングラン/リバイバル上映を重ねていった。その火をつけたのは、間違いなくシネマシティだった。

更に"狂気"に踏み込む

 従来とは違う付加価値をつける上映は、IMAXや座席の動く4DX/MX4D、前述の『ULTIRA』や『アメイジング・サウンドシアター』などが先に世に生まれ出ていた。その時点では、むしろシネマシティは"後追い"だった。

一気に知名度を上げたにも関わらず、立川シネマシティは立ち止まらなかった。その立役者たる『怒りのデス・ロード』のリバイバル上映に合わせて、更に常識から逸脱することで、爆音方面でのフロントランナーとしての地位を固めに来た。 

シネマシティ|ニュース:4/2(土)から 【極上爆音】 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は死んで、甦る!

まずは何も言わずに、下記PDFの"決意表明"を読んでみてほしい。下の長い画像は、"宣言"本文の抜粋だ。ところどころある固有名詞は『怒りのデス・ロード』に出てくる単語なので、気になる人だけググってみようw。

https://info.cinemacity.co.jp/wp-content/uploads/mm2ndflyer_bside.pdf

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その時点で十分に"音で殴れる"サブウーファーを搭載していたにもかかわらず、更に明らかにライブ会場用の『ラインアレイスピーカー』をブチこんできたのだ。その購入金額、6000万円。先行投資にしては、あまりに大きい。まさに"狂気"。

この辺りは、長々と書くよりもインタビュー記事に詳細は任せたい。この時期かなり話題になっていくつも特集記事などがあるので検索してみてほしいのだが、そのうちの2つの記事を貼っておくことにする。

ASCII.jp:映画館の常識を破壊した男からの手紙

音楽偏愛家 Vol.2|立川シネマシティ企画室長・遠山武志 – lute 

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 この縦に並んだ禍々しい(笑)スピーカーから拡散少なく放たれる音は、映画館とは思えないシロモノになっていた。爆音になれば、飛んでくる音は"砲弾"から"音の壁"にクラスチェンジ。圧倒的としかいいようがない音圧と衝撃を、後方席まで運んでくれる。

再上映の『怒りのデス・ロード』と未だロングラン上映継続中だった『ガルパン劇場版』。従来でも相性が良かった2作品と新システムが噛み合わないわけがなく、更なる熱狂の過熱と共に、シネマシティの『極上爆音の聖地』としての名声は盤石の物に。

その後『怒りのデス・ロード』の上映は終了しても『ガルパン劇場版』の上映は続き、ソフト化されてからも客足が衰えないという意味不明な現象すら起こしつつ、ついに1年以上の超々ロングランという金字塔を打ち立てたのだった。 

【祝】シネマシティ極上爆音上映『ガールズ&パンツァー 劇場版』がめでたく一年連続上映。中の人が一年間を振り返り! - Togetter

 全国上映された映画の、その時点での動員の8分の1が立川に通い続けたという圧倒的すぎる数字を残し、惜しまれながら立川シネマシティでの連続上映は幕を下ろした。

ただ、連続でこそ無くなったものの、あっという間に断続的なリバイバル上映が再開されてしまう(笑)。お客さん来るんだもの、ちかたない。それ以降、イベント上映的に隙あらばスケジュールにねじ込まれ、今の『ガルパン最終章』につながるのだった。

映画館で映画を観るということ

 やっと本題w。

映画館で映画を観るということは、すなわち家のテレビで観る以上の価値をそこに求めるということだ。大スクリーンだったり、爆音だったり、立体音響だったり、動く椅子だったり、映画館それぞれにウリは違うけれど。

「遠い…」とか「高い…(基本1800円)」とかの"心のハードル"を下げるための付加価値だけど、そこには映画の魅力をより引き出すための映画館側の努力が詰まってる。

今でこそ「観たい」と思えば追加料金を払おうが更に2時間かかろうが、そこでしか観られないならどこにでも行く耐性はついた。だけど、そのハードルを下げて、飛び越すことに慣れさせてくれたのは、間違いなく立川シネマシティだ。

湘南のアウェイ観戦で慣れていたということも当然あるだろうw。趣味的な物事なら何でもそうなんだけど、鑑賞系の趣味の価値は「観たい」を満たす行動の中にこそあるんだ。自室のテレビで流すことと、映画館で観ることは、同じようで全く違う。

湘南ベルマーレのサポーター活動を始めようと思ったら、キジェさんが監督に就任してくれた。日野に転居したら、近所に立川シネマシティがいてくれた。

人生を潤す素晴らしい出会いに、両者には本当に感謝しかない。楽しい事ばかりじゃなくて、ツラいこと(クソ試合/合わない映画を掴まされる)こともあるけれどw。

つまり何が言いたいかというと、行かない理由を探している暇があったら、自分の中の「観たい」に正直になって、まずは映画館に行くべきだってこと。そこには、配信やレンタルを家で観るのでは味わえない感動が待っているから。スタジアムと同じよw。