湘#48 れび@湘南サポBLOG Ver.2

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【J2・第28節_vs千葉(A)】 『正解への道』○1-0

相手のストロングポイントを抑えて我々の良さを出そうとした。いいところは出なかったけど、それも含めて全部が“正解”。どんなにボールを持って、どんなにシュートチャンスをつくってもゴールが入らなければ勝てない。内容を度外視したわけじゃないけど、選手はいい意味で状況を判断した。長いシーズンを戦ううえで、彼らなりに“正解”を出したと思う。

キジェ監督は、試合後にこんなコメントを残した。チームでも『正解』を求めて連戦の短期間でできるだけの準備をして臨んだはずだ。しかし、問題を解く最初の段階で見誤っていた。千葉のチーム戦術の深化と、それによって得た自信と、この試合に賭ける意気込みを。

この日の湘南のスタメンは、前節長崎戦から端戸→表原、俊輝→未月。相手のストロングを抑えるために、まずはボールの奪い合いで勝ちに行く…という選択に見える。対する千葉のスタメンは前節と同じ。メンバーを変えずにホーム無敗の良い流れのままにぶつかってきた。

しかしそれは真正面からではなかった。小雨が降り続く中でも試合前に二度に渡って入念にピッチに水を撒いてきた。湘南にいつものプレーをさせずに、ピッチに慣れる前に主導権を握ってしまおうという考えだったのかもしれない。そして、それはドストライクにハマった。

ハイラインはともかく、複数人での素早いプレスで湘南の自由を奪いに来た。キックオフ直後に左の清武から右の船山に斜めに入れられてシュートがポストに弾かれた場面は、決められていたら一気に流れを持って行かれるところだった。

前半はほぼ全て千葉の時間帯。ボールを持てば即座に奪われ、競り合いには負け、ようやくマイボールにしても重馬場に足を取られて思うようなプレーができない。簡単にマークを外され、常にフリーの選手を作られて5分に1回は大ピンチという有様。

無失点で終われたのは、シュートを外してくれもいたが、懸命にコースを狭めて秋元の守備範囲にシュートを打たせていた、守備の集中力だろう。攻撃が形にならない中でも、自分達に出来ることをやり続けて『正解』への糸口を探し続けていたんだ。

狂犬プレスに押し込まれまくった前半やったな pic.twitter.com/oQyVavd05l— ろくろーべる (@greenblue6960) 2017年8月16日

前半の平均ポジションで、ここまで前に出られていないのは初めてだろう。ボールが持って前を向けないのだから、45分間の実戦で守備練習をしていたようなものだ。

後半開始から未月→俊輝の交代。ボランチの仕事人が入ることで、ピッチ内のバランスがかなり改善された。60分には表原→野田と交代もあったが、逆に野田ちゃんは試合に馴染むのに時間がかかった印象。守備で棒立ちの場面が散見し、秋元に怒鳴られたりしていた。

78分にムルジャの入ったあたりから、千葉に攻め疲れが出てきたのか、ようやく湘南の前からのプレスがハマる場面が出始めていた。”あの場面”も、右サイドでムルジャが身体を張って追い回して、左サイドにボールが回ったところから始まる。

複数人数でボールホルダーを追い詰めて、左サイドでボールを奪う。そこから前線のムルジャへパスが通ると、入ったばかりで元気なムルジャ、左サイド奥まで持ち込んでセンタリング。しかしボールはDFに引っかかってしまう。…ここが試合の最大の分岐点だった。

クリアを焦った相手DFが、キックをミスってゴールライン方向にボールを出してしまい、湘南にコーナーキックを献上してしまったのだ。この時ゴール前では2人待ってはいたが、そこまで慌てる場面では無かったのに。そして、時間にして82分…その瞬間が訪れた。

ついに均衡が破れる!左サイドからのCKに #ドラガンムルジャ が頭で合わせて湘南が先制!ムルジャは移籍後初ゴール!明治安田J2第28節 千葉×湘南は https://t.co/u4BaoHt81Q で配信中#テレビでDAZN📺@bellmare_staff pic.twitter.com/ByC6kRCdjf— DAZN ダ・ゾーン (@DAZN_JPN) 2017年8月16日

秋野、ピンポイントの完璧なボールを入れる。

やーまんと野田ちゃん、自分のマークを連れてゴール方向に流れて密集を崩す。

バイーアさん、ニア側に動いてスペースを作り、ジャンプしてシュートフェイント。

しまむー、その場で壁になって、自分とムルジャのマーク2人のスペースへの侵入を阻む。

そしてムルジャ。一度しまむーの背後でフェイントを入れて自分のマークを剥がし、ドフリーでしまむーの壁とバイーアさんの間に飛び込み、ヘディングシュート。GKとゴールマウスに一人いたDFは、完全に逆を突かれてボールを見送る事しかできなかった。

ラッキーパンチではない。サッカーは恐ろしい…なんて一言で片付けられたくはない。相手に好き放題やられても失われなかった運動量/集中力/意思統一で手繰り寄せた、渾身の一撃。

あの時間まで湘南は我慢し続けた。そしてあの場面だけは、湘南が千葉を凌駕した。圧倒され続けた展開の中で、選手たちがピッチ内で導き出した『正解への道』だった。

正直に言えば、前半終了時には敗戦を覚悟した。後半に入っても、スコアレスドローで勝ち点1を拾えたなら万々歳…なんてことも頭をよぎった。それほどに千葉の成熟度には驚かされた。

しかし、同じ時間をかけて成長してきた湘南に勝者の権利が無いとは思わない。宮澤ミシェル氏が「サッカーに判定勝ちがあるならジェフが勝ってた」とか何とか言ってたらしいが、スコアレスドローならともかく1点取ったなら湘南の勝利だっての。

『正解』への道筋でミスをしなかった湘南と、ミスでその道筋を作ってしまった千葉、という見方もできるだろう。ボールを止めて普通にクリアされていたら、得点に至るコーナーキックは無かった。もちろんどこかで1点でも決めていたら、試合は千葉のモノだったのだから。

ホーム無敗を継続して昇格戦線での浮上を目指した千葉の野望を振り切って、これにて4連勝。気がつけばリーグ最小失点タイ。あんだけ3失点負けがあるのにねw。福岡が先にコケてくれて一歩後退、3位名古屋との勝ち点10差は変わらず。

次節はホームで熊本戦。ここまで7勝15敗6分、けして波に乗れてはいないが、一ヶ月前には千葉に勝利していたりする。アウェイでの対戦では後半ロスタイムのPKで逃げ切り勝利。今度はスッキリとした勝利を観たいものだ。千葉戦の勝利を無駄にしないためにも。